中国株
税金
売却益に関する税金
国内株式と同様、譲渡益税の対象となります。税率や申告方法など基本的には国内株式に準じます。
国内株に課される税金について
中国本土では、海外投資家に本来10%の譲渡益税が課税されますが、運用上、実際には徴収されていません。香港株相互取引を利用して買い付けされた上海A株・深センA株については、将来的に譲渡益税が課税される可能性もございますので、あらかじめご了承ください。
中国株式も特定口座での管理対象となります。特定口座を開設済みで買い注文時に「特定」を選択した株式が対象です。
配当に関する税金
国内で課される税金
- 中国株の現金配当には、国内の上場株式と同じように20.315%の税金が課されます。 (内訳:所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)
- 現金以外の配当は、原則課税されません。
現地で課される税金
- 中国本土に登記しているB株企業とH株企業及び海外に登記されているレッドチップ企業の一部については、中国本土で10%の税金が課されます。なお、現金配当のみならず、株式分割(無償交付)のうち利益剰余金を資本金に組み入れることで行われる株式配当も課税対象となっています。
- A株については、B株・香港H株などと同様に中国本土で10%の税金が課されます。
- それ以外の香港銘柄の課税状況は、上場企業の登記地によって異なります。香港、バミューダやケイマン諸島などに登記している大多数の香港上場企業については、配当が現地で課税されませんが、カナダなど課税される地域もあります。
現地・国内両方で課税された場合の受取金額など
- 国内での税金は、現地での税額を差し引いた後の配当金額に対して課されます。
例
保有株1,000株について、H株企業(現地税率10%)が1株につき10香港ドルの配当を行った場合。(1香港ドル=12.5円)- 現地での源泉徴収前配当金額:
1,000×10香港ドル=10,000香港ドル(=125,000円) - 現地での源泉徴収税額:
1,000×10香港ドル×10%=1,000香港ドル(=12,500円) -
国内での課税基準:
10,000香港ドル-1,000香港ドル=9,000香港ドル=112,500円 -
国内での源泉徴収税額:
所得税+復興特別所得税:112,500円×15.315%=17,229円(1円未満切り捨て)
住民税:
112,500円×5%=5,625円 → 合計:17,229円+5,625円=22,854円 -
受取金額:
112,500円-22,854円=89,646円
- 現地での源泉徴収前配当金額:
- 確定申告をして「外国税額控除」制度を利用すれば、海外で源泉徴収された税額の一部または全部が所得税額から控除できる場合もあります。
外国税額控除について(国税庁)例:(上記の続き、申告分離課税を選択した場合)
この例で、現地では配当金額の10%、日本では残額の20.315%が源泉徴収され、2重課税となっていました。そのため、配当を受け取る段階では、既に12,500円(前項(b.現地での源泉徴収税額))+22,854円(前項(d.国内での源泉徴収税額))=35,354円と、配当金額125,000円の28.2832%が源泉徴収されていました。このような2重課税を回避するために、外国税額控除があります。適用後、以下の計算過程に基づき、例えば9,961円が還付され、実質的に負担する税額は=25,393円①となります。前提:
所得総額(控除後)500万円、国内での所得税額40万円(外国税額控除の適用前)、復興特別所得税額8400円、住民税15万円
上記の配当所得以外の国外所得がありません。- 配当所得を申告することで、国内税額が現地の源泉徴収課税前の金額に対して計算されます:
所得税+復興特別所得税:125,000円×15.315%=19,143円(1円未満切り捨て)
住民税:125,000円×5%=6,250円
→ 合計:19,143円+6,250円=25,393円①
(国内での源泉徴収に比べて2,539円の追加税額) - 所得税の控除限度額:
所得税の額×(国外所得金額/所得総額)
400,000円×(125,000円/5,000,000円)=10,000円 < 12,500円(外国所得税額)
→ 10,000円②を所得税から控除、未控除残額:2,500円 -
復興特別所得税の控除限度額:
復興特別所得税額×(国外所得金額/所得総額)
8,400円×(125,000円/5,000,000円)=210円 < 2,500円(bの未控除残額)
→ 210円③を復興特別所得税から控除、未控除残額:2,290円
(実際は②+③=10,210円が所得税・復興特別所得税の合計から控除されます。) -
住民税控除限度額:
所得税の控除限度額×30%
10,000×30%=3,000円 > 2,290円(cの未控除残額)
→ 2,290円④を住民税から控除、未控除残額:0円 -
今回は外国所得税額を全額控除できるため(②+③+④=12,500円=外国所得税額)、未控除残額が0円となりました。
なお、この段階で未控除残額が残った場合、連続して確定申告すれば、最大3年間繰り越し控除ができます。
- 配当所得を申告することで、国内税額が現地の源泉徴収課税前の金額に対して計算されます:
- 外国税額控除を受けるために、確定申告する必要があります。申告不要制度は利用できなくなるため、結果として支払税額や国民健康保険料が高くなる可能性もあります。詳しくは税理士や税務署などの専門家にご相談ください。
外国証券権利・配当案内書 「国外税率(%)」および「申告用国外税率(%)」
お客様に交付しております外国証券権利・配当案内書の記載項目「国外税率(%)」および「申告用国外税率(%)」の表記について、お客様が受け取られる現金配当に対する国外税と無償交付の株式に対する国外税を合わせた税率が記載されております。
長安汽車(チョウアンオートモービル)の場合を例にご説明いたします。
2010年12月決算の配当について、10株につき0.8元の現金配当と10株につき8株の株式分割(うち4株が無償交付)が行われました。
配当は1株当たり税引き前の配当0.08元を増資比率1.8で割った金額を表示しています。
現金配当の税金について
10株に対する現金配当は0.8元ですので、10%の国外税0.08元が課税されます。
この税率は中国本土企業の場合です。一部の外国企業(カナダ、日本など)では、国外税の税率が異なります。
株式分割(無償交付)の税金について
無償交付される株式について、その資金の違いにより国外税が課税されるもの、課税されないものがあります。
今回の株式分割(無償交付)8株のうち4株について、資本剰余金を資金として行われた株式分割であり、4株の株式ついては国外税の課税対象外です。
しかし、残り4株について、利益剰余金をもとに行われた株式分割であるため、国外税の課税対象となります。
課税対象となった4株(額面1元×4株=4元)に対する10%の課税により0.4元の国外税が課税されました。
額面について、中国本土株については1元ですが、香港株についての額面は一律ではありません。
結果として、現金配当0.8元に対する10%の国外税0.08元、無償交付のうち利益剰余金で株式分割を行った4株(額面4元)に対する10%の国外税0.4元をあわせた0.48元の国外税が課税され、配当0.8元に対する60%の国外税率と記載されています。
外国証券権利・配当案内書の内容は香港ドルで記載されております。
無償交付を行った株式の資金(資本剰余金、利益剰余金)の割合は一定の割合ではないため、国外税については確認が必要です。
現金配当の源泉徴収を行う一部の外国企業については、税率などを個別に確認することが必要です。
海外で徴収される税金の概要
配当や譲渡益への課税は、日本株への投資と同様に日本で行われますが、さらに海外で税金が徴収されることもあります。海外での課税は、当該上場企業の登記地によって異なります。
香港上場企業の場合、全体の11%を占める中国本土で登記された会社(H株)については、その現金配当に対して10%の税金が中国で徴収されます。また、株式分割(無償交付)のうち、「株式配当」については株式額面の10%に相当する税金が課されます。ただし、株式分割(無償交付)のうち「無償増資」は非課税です。こうした課税は上海や深センのB株でも同じです。
一方、香港上場企業のうち全体の87%を占めるケイマン諸島、バミューダ諸島、香港で登記された会社については、基本的に配当や譲渡益に課税されることはありません。ただし、中国の税務当局によって「非本土登記居住企業」と認定された一部のレッドチップ企業については、たとえケイマン諸島、バミューダ諸島、香港で登記されていても、その配当金に対して10%の税金が中国で徴収されます。どのレッドチップ企業が「非本土登記居住企業」に認定されるのかは、税務当局の判断しだいというのが実情です。このため現在は課税されていなくても、急に課税される可能性もあります。
なお、弊社では配当額などを表示する際、税引き前の金額を採用しますので、ご注意ください。
海外での税負担は外国税額控除により軽減できるケースもあります。詳しくは税務署や税理士などの専門家にご相談ください。
- 中国本土で登記された企業の株式のうち、日本の個人投資家が直接売買できるのは、香港上場がH株、本土上場がB株と呼ばれます。その課税状況はいずれも表の通りで、市場による違いはありません。
- 一部のレッドチップ企業については、たとえケイマン、バミューダ、香港などで会社登記されていても、配当課税されます(本文参照)。
- 日本登記の場合、配当金には海外法人向けの高税率が適用され、日本で源泉徴収した後に香港に送金されます。香港を経由して入金した配当金から再び源泉徴収するかについては、証券会社によって対応が違います。
- 海外での譲渡益課税がある銘柄については、原則として当社で取り扱いません。
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