中国株
コーポレートアクション
現物配当について
香港に上場する企業は、傘下企業の上場株式や上場予定株式を現物で配当することがあります。これについてはお客様も基本的に現物のままで受け取ることができます。ただ、ごくまれに日本人を含む海外投資家などに限り、現物ではなく、現金で配当する企業もあります。現物配当を実施する企業が、海外の規制を自ら調べ、日本人など一部の海外投資家に現物配当を実施すべきでないと判断したケースです。
このような場合、当社に送られる書類で「最終受益者」(当社お客様を指す)が日本人であるか否かについて問われれば、当社は「Yes」と回答せざるを得ません。「Yes」と答えた結果、当社のお客様には現金が配当されることになります。
また、受け取るのが現物なのか、現金なのかは、当社ホームページなどで配当内容を表示した後に判明することもあります。このため当初は当社ホームページで現物での受け取りになると表示しても、後で改められることもあります。ご理解のほどよろしくお願いいたします。
香港上場銘柄の有償増資について
香港上場企業が既存の株主に対して実施する有償増資は、主に以下の4 種類があります。いずれも日本の規制により、権利は行使できません(香港や中国が禁じているのではありません)。
ただ、一部については付与された権利を市場で売却する機会があります。売却は当社で実施するため、お客様のご指示は不要です。市況によっては売却できず、権利は消滅します。また、まれに有償増資に応じられない海外株主に、現金を交付するケースもあります。このように権利の現金化は保証できないため、当社ホームページなどでは原則的に情報を掲載していません。
有償増資の種類
日本語 | 中国語(英語) | 概要 | 行使 | 売却 |
---|---|---|---|---|
株主割当増資 (ライツ・イシュー) |
供股(Rights Issue) | 新株引受権を付与する株主割当増資。新株引受権とは、一定の価格で新株を購入できる権利。新株引受権は存続期間にわたり市場で売買される。 | 不可 | 可能 |
株主割当増資 (オープン・オファー) |
公開招股(Open Offer) | 新株引受権を付与しない株主割当増資。 | 不可 | 不可 |
新株予約権付与 (ボーナスワラント・イシュー) |
発行紅利認股権証 (Bonus Warrant Issue) |
配当の一環として、新株予約権(ワラント)を持ち株比率に応じて株主に付与すること。ワラントは一定の価格で新株を購入できる権利。新株予約権は存続期間にわたり市場で売買される。 | 不可 | 可能 |
株主優先募入 (プレフェレンシャル・オファー) |
優先発售 (Preferential Offer ) |
子会社などをスピンオフ上場する際に、株主の持ち株比率に応じて新規上場企業の既存株を優先的に売り出すこと。株主は新規上場株を公開価格で購入できる。子会社をスピンオフする場合に多く実施される。 | 不可 | 不可 |
その他の主なコーポレートアクションについて
株式分割(無償交付)の種類
株式分割(無償交付)は、中国本土で「株式配当」(中国語:送股)と「無償増資」(中国語:資本公積金転増)に区分されています。うち「株式配当」は中国本土で配当課税の対象となっています。「株式配当」と「無償増資」の違いについて右のような貸借対照表の会社を例に説明します。こ のうち純資産(6億元)の変化がポイントとなります。
「株式配当」の場合
この企業が1株につき1株の株式配当を実施した場合、純資産は以下のように変化します。これが課税対象となる理由を示すため、現金配当の例もご覧ください。
株式配当の例
現金配当の例
このように利益剰余金が1億元減少し、資本金が1億元増加します。資本金の増加分である1億元に対応する新株が発行され、株主に分配されます。現金配当とは違い、現金は流出していないので、純資産の額に変化はありません。しかし、現金配当と同じく、利益剰余金を原資としているため、中国本土では課税対象とみなされます。
「無償増資」の場合
次に、この企業が1株につき1株の「無償増資」を実施した場合、純資産は以下のように変化します。
このように資本準備金が1億元減少し、資本金が1億元増加します。資本金の増加分である1億元に対応する新株が発行され、株主に分配されます。「株式配当」と同じく現金は流出していないので、純資産の額に変化はありません。ただ、株式配当とは違い、積み立てが義務づけられている資本準備金を原資としているため、課税対象となりません。課税の問題を除けば、無償増資の効果・影響は株式配当と同じです。
「株式配当」、「無償増資」のいずれも、実施されれば株価は所定の計算式に基づき、切り下げられます。
株式分割(無償交付)と株式分割(額面変更)の違いについて
株式分割(額面変更)は香港上場銘柄で実施されるものであり、既存株の額面を切り下げることで、株数を増やす方法です。株式分割(無償交付)と違い、純資産の構成は変わりません。なお、逆に既存株の額面を切り上げて、株数を減らすのが株式併合です。株式分割(額面変更)を実施した場合、株式分割(無償交付)と同様に、株価は切り下げられます。一方、株式併合の場合、株価は切り上げられます。
まとめ
内容 | 内訳 | 株数 | 資本金 | 株主資本 | 株価 | 課税 (現地) |
課税 (日本) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
現金配当 | - | 不変 | 不変 | 減少 | 低下 | 有 | 有 |
株式分割 (無償交付) |
株式配当 | 増加 | 増加 | 不変 | 低下 | 有 | 無 |
無償増資 | 増加 | 増加 | 不変 | 低下 | 無 | 無 | |
株式分割 (額面変更) |
- | 増加 | 不変 | 不変 | 低下 | 無 | 無 |
株式併合 | - | 減少 | 不変 | 不変 | 上昇 | 無 | 無 |
前日終値の調整
コーポレートアクションが実施され、権利落ち日や発効日を迎えると、その前日終値が理論値に修正され、当日の騰落率に影響が出ます。また、理論値は所定の計算式に基づき算出されるため、刻み値の関係から現実にはありえない株価となることもあります。
現金配当
例)1株につきD香港ドルの現金配当:
ただし、Dが株価の通貨と違う場合は、為替レートに基づき調整しなければならない。適用する為替レートは各企業などの規定により違うので、注意が必要。また、配当額が権利付最終売買日になっても確定していない場合、調整しない。配当額が前日終値より高い場合も、調整しない。
株式分割(無償交付)・ボーナスワラント
例)Y株につきX株の株式分割(無償交付)、 あるいはY株につきX枚のボーナスワラント:
現金配当が同時に実施されている場合、現金配当の実施に基づく調整を実施した後に、株式分割(無償交付)・ボーナスワラントの調整を行う。株式ではなく転換社債(CB)が交付される場合、調整しない。
現物配当
例)F社の株式Y株につき、E社の株式X株の現物配当:
権利落ち日にE社の株式が上場していない場合、調整しない。また、分配比率が権利付最終売買日までに確定していない場合、調整しない。E社の株価がF社の株価より高い場合も、調整しない。
株主割当増資
例)Y株につきX株の株主割当増資。割当価格は1株あたりZ香港ドル:
割当価格が前日終値よりも高い場合、調整しない。また、割り当てられるのが転換社債(CB)の場合、調整しない。
株式併合
例)X株をY株とする株式併合:
株式分割(額面変更)
例)X株をY株とする株式分割(額面変更):
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