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「外資のA株市場外取引 取得条件を緩和」に対するコメント

06.01.06

2006/01/06日経新聞朝刊(7面)「外資のA株市場外取引 取得条件を緩和」に対するコメント

中国部長 田代尚機

 まず、2006/01/05、ホームページ上「戦略的投資家のA株保有、政府5部門が規定」を読んで頂きたい。非流通株の解消についても参照(6月以降多数)して頂きたい。

 規定は商務部起案とみられ、上場企業における非流通株がすべてA株になることによって生じる矛盾に対応すべく、作られたと思われる。非流通株の中に存在する外資法人株がA株に転換されることにより、外資が現行制度以外の方法で自動的にA株を取得できてしまうことになるが、こうしたケースに対しても、戦略投資家としてA株保有を認めることによって、法的整合性が保たれることになる。

 一方、証券市場への影響も大きい。非流通株の解消(全株流通)による株価下落を緩和させる効果が期待できそうである。

 全株流通が認可され、一定の期間を経過すれば、非流通株株主は株式を売却することができる。この際、十分な資金を持った機関投資家や事業法人が国内に育っていれば、その売却による影響を軽微に抑えることが出来ようが、実際はそうした状況にはない。事業法人による株式取得には厳しい制限もある。したがって、売却によって、需給悪化が起こり、株価は下落してしまう。

 今回の措置により、長期所有目的の外国人投資家を譲渡先として加えることによって、需給悪化、株価下落を緩和することができる。

 現在外国人投資家が、A株を取得する方法はQFII制度を利用する以外にはない。今回の規定により、この方法によっても、外国人投資家がA株を取得できるようになる。外国人投資家が保有したいと思う銘柄は確実に存在する。特に、産業を代表するような大型株であれば、長期運用主体の金融機関、海外の同業他社などは強い関心を示すはずである。

 昨年8月18日、宝山鉄鋼(上海A株)が全株流通を行った。非流通株株主は全株流通した後も、ロックアップ期間(この場合1年間)は売却できない。実際に需給悪化しないにもかかわらず、寄り付きの段階で▲8.9%、大引けで▲10.9%下落した。大型株の下落は相場全体の地合いも崩し、その日の上海総合指数は▲3.8%下落した。

 このように、大型株の全株流通が相場に与える影響は大きい。実際需給悪化しない段階で下げているが、今回の規定により、そうした狼狽売りは減りそうである。また、実際に流通株株主が売却する際、長期保有を前提にした外国人投資家に譲渡することができれば、需給悪化は物理的に軽減できる。こうした理由で、A株市場は上昇、B株市場も連れ高となったのである。

 全株流通銘柄(G株)が材料視されて、買われているといった事実はない。また、この規定は市場関係者の意表をつくものであった。この発表は5日の寄り付き前。5日の相場はこの材料を織り込みに行ったわけであるが、同日の上海A株上昇率トップ10には、G株2社と今後G株になるであろう1社が含まれていた。一方、ワースト10にもG株3社が含まれていた。この規定と、G株株価の上げ下げは無関係といっていいであろう。

 今回の規定発表で重要なことは、資本市場改革が着実に進んでいること、A株市場開放に向けた準備が着々と進んでいることである。投資家の本土市場への信頼は着実に改善しており、今後、外資資金の流入も期待できそうである。

―以上―

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