【特定口座】取得費の算出方法について
特定口座の取得費は、売却や株式分割等が発生した際に、以下の手順で計算を行います。
① 買付時の取得費を株数で割った単価(円貨)を計算します。
② 計算した単価に小数点以下が発生した場合は、切り上げを行います。
③ 切り上げた単価に株数を掛けて、取得費を計算します。
このような計算を行うことから、特定口座の概算簿価単価や損益は実際の値と異なる場合があります。
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例1) |
A株式を1000株、単価100円買付し、その後101円で売却した場合
(わかりやすくするため、売買とも手数料は200円と仮定して計算)
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計算方法
買付時計算 |
約定代金
(手数料込) |
買付株数×買付単価+手数料=約定代金
1000×100+200=100,200円
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取得単価 |
約定代金÷株数=取得単価
100,200円÷1000=100.2円
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取得費 |
取得単価×買付株数=取得費
100.2×1000=100,200円
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売却時計算 |
売代金 (手数料計算前) |
1000×101=101,000円 |
取得単価 |
取得単価の小数点第一位以下切上げ
100.2円→101円
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取得費再計算 |
小数点切上げ後取得単価×買付株数=取得費
101×1000=101,000円 |
特定口座の損益 |
売代金-取得費-売却時手数料=損益
101,000-101,000-200=▲200円 |
売却時の損益計算を行う際に取得単価の小数点以下を切上げし取得費の再計算を行うため、実際の売買損益と異なる場合があります。
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例2) |
A株式を2000株、単価100円買付し、その後1000株101円で売却し、後日1000株102円で売却した場合
(売買とも手数料は200円で計算) |
買付時計算 |
約定代金 (手数料込) |
買付株数×買付単価+手数料=約定代金
2000×100+200=200,200円 |
取得単価 |
約定代金÷株数=取得単価
200,200÷2000=100.1円 |
取得費 |
取得単価×買付株数=取得費
100.1×2000=200,200円 |
一部売却時(101円で1000株 売却) |
売代金 (手数料計算前) |
1000×101=101,000円 |
取得単価 |
取得単価の小数点第一位以下切上げ
100.1円→101円 |
取得費再計算 |
小数点切上げ後取得単価×買付株数=取得費
101×2000=202,000円 |
特定口座の損益 |
売代金-取得費(売却株数分)-売却時手数料=損益
101,000-101,000-200=▲200円 |
残数取得費 |
取得費-売却株数分取得費=残数取得費
202,000-101,000=101,000 |
残数取得単価 |
残数取得費÷残株数=残数取得費
101,000÷1000=101円 |
一部売却時(102円で1000株 売却) |
売代金 (手数料計算前) |
1000×102=102,000円 |
特定口座の損益 |
売代金-残数取得費-売却時手数料=損益
102,000-101,000-200=+800円 |
一部売却時に取得費の再計算を行うため、一部売却後残った株式の取得単価は一部売却前の100.1円の取得単価が101円に変更されます。残った株式の取得単価は101円となります。その後残数を売却する場合には、取得単価がすでに整数のため取得単価の再計算は行われません。
しかし、一部売却後に再び買付しその後売却した場合には、取得費を保有株数で割った取得単価に小数点以下が発生する場合は、取得単価の切上げを行い取得費を算出することとなります。
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例3) |
A株式を1000株、単価100円で買付、その後再び1000株101円で買付し、2000株102円で売却した場合
(売買とも手数料は200円で計算) |
一部買付時 |
約定代金 (手数料込) |
買付株数×買付単価+手数料=約定代金
1000×100+200=100,200円 |
取得単価 |
約定代金÷株数=取得単価
100,200円÷1000=100.2円 |
取得費 |
取得単価×買付株数=取得費
100.2×1000=100,200円 |
一部買付時(2回目) |
約定代金 (手数料込) |
買付株数×買付単価+手数料=約定代金
1000×101+200=101,200円 |
取得単価 |
約定代金÷株数=取得単価
101,200円÷1000=101.2円 |
取得費 |
取得単価×買付株数=取得費
100.2×1000=100,200円 |
合計取得費 |
一部買付時取得費+一部買付時(2回目)取得費=合計取得費
100,200円+101,200円=201,400円 |
平均取得単価 |
合計取得費÷残株数=平均取得単価
201,400÷2000=100.7円 |
売却時 |
売代金 (手数料計算前) |
2000×102=204,000円 |
取得単価 |
平均取得単価の小数点第一位以下切上げ
100.7円→101円 |
取得費再計算 |
小数点切上げ後平均取得単価×残株数=取得費
101×2000=202,000円 |
特定口座の損益 |
売代金-取得費-売却時手数料=損益
204,000-202,000-200=+1,800円 |
取得単価の小数点以下の切上げは売却時に行いますので、複数回に分けて買付した場合は、売却までは合計取得費で計算します。その後、売却されたときに取得費を再計算することにより取得単価を切上げし、損益を計算します。
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例4) |
買付株数1000株、買付単価100円のA株式が1株を3株とする株式分割を行った場合 |
買付時 |
約定代金 (手数料込) |
買付株数×買付単価+手数料=約定代金
1000×100+200=100,200円 |
取得単価 |
約定代金÷株数=取得単価
100,200円÷1000=100.2円 |
取得費 |
取得単価×買付株数=取得費
100.2×1000=100,200円 |
株式分割時 |
取得単価
(分割時) |
分割前取得費÷株数=取得単価(小数点切上げ)
100,200÷1000=100.2円(小数点第一位以下切上げ)=101円 |
分割後取得単価 |
取得単価×1÷分割比率=分割後取得単価
101×1÷3=33.6666・・・・(小数点第一位以下切上げ)=34円 |
分割後取得費 |
分割後取得単価×分割後株数=分割後取得費
34×3000=102,000円 |
株式分割が行われた場合には、権利落ち日に売却時と同様に取得費から小数点以下を切上げた取得単価の算出を行い、分割後の取得費を再計算します。このため、分割比率によっては取得単価の切上げによって特定口座の計算上、取得費が変わる場合があります。
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例では特定口座の損益計算時に取得費と売却時手数料を便宜上分けて表示しておりますが、本来は売却時手数料も取得費に含むこととなっておりますのでご注意ください。 |
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